今年いっぱいのネタおろし

久しぶりのブログ更新です。


ブログをやっていたのかすらあやしいですが、8月6日以来の更新です。

先日、「北とぴあ」についてのブログは書かせていただきましたが、ご報告メインでしたので、とにかくブログは随分と間が空いてしまいました。


8月は「鹿芝居」についてのお話しでした。
もはや懐かしくもあり、良き思い出でもあり、セリフよく覚えたなというヒリヒリした感触がまだ残っております。


そこからまた、各寄席、各落語会、お越しいたただきまして誠にありがとうございます。


8月から9月、10月と思い起こせばトピックスがたくさんあるのですが、各月何かひとつずつ勝手に絞って振り返ります。


8月は毎年恒例の清瀬での「ちびっこらくご塾」。
いつものことなのですが、短い期間で急成長をする生徒さんに関心しきりでした。

そして今年は特に個性について生徒さんに教えていただいた気がします。

お子さんの場合はこちらが教えた通りにやる必要はなくて、誰かと同じようにならないのが見ていて心地よいのです。

なので自然に自分というものが出ていて面白いです。

あえて個性を出そうとしている人がいないから、こちらが一人一人の癖や特徴をフッと感じとることができます。
そこに楽しみがあると今年わかりました。

「自分らしく表現して」って難しいですよね。
授業中言ってしまっていたかもしれませんが。

自然だからこそ滲み出ているのが、その人らしいものになっている。

こんな理想的なこと、羨ましいとさえ思いました。

我々の場合は、まずは教わった通りにできないといけない、なんて言われることが多いですし、私もそう思っています。

その土台があってこそ、自分のものができあがる。
よく職人の世界でも使われる「形無し」のお話です。
それを信じて疑わないのです。

お客さんに伝わりやすくするためにはこうした方がいいんじゃないか、という一点だけは気をつけますが、それ以外のことで、お子さんの小噺発表に形は求めません。
楽しくやってくれることが何より大事です。

それを練習から右肩上がりで本番にやってのけます。

固定概念のなさを土台にした、素の自分が出ている子たち。


『個性』、、、なんと難しくて尊いのでしょう。




9月は、「日本橋ひとり寄席 雷門音助らくご会」。

瀧川鯉八師匠をゲストにお迎えしました。

この会が日本橋亭に移ってから、ゲスト回を始めましたが、基本自分の所属する落語芸術協会以外の方をお願いしようと決めています。

しかし、ここにきて同じ協会の鯉八兄さんにお願いしました。

むしろ鯉八兄さんと同じような方はどこを探してもいないですから、協会という概念でみなくていいのではと思います。

自分には決して表現できようもないジャンル。

同じ協会ですから、前座のときから今まで何度となく顔を合わせて、同じ会にも出させていただいています。

が、勉強会の楽屋に鯉八兄さんがいるというのは緊張感があるのです。
まさにゲスト回の醍醐味。

この「ひとり寄席」では本当に独りのときと、ゲスト有りのときの空気感の違いも楽しんでもらえていたら嬉しいかぎりです。




10月は「鯉丸と音助」。

瀧川鯉丸兄さんと2016年から続けている二人会。
会場は初回からずっと神保町にあります「らくごカフェ」をお借りしていました。

そしてこの度、第42回目にして初めて他の会場での開催でした。

お借りしたのは、日本橋〜茅場町にあります「アートスペース兜座」。

備品設備がこれでもかと整っています。
らくごカフェとは違い、会場設営も受付も自分たちでやります。
(オーナーにかなり手伝ってもらいましたが)

初めての会場ということもあり、普段この会ではあまりやらないトークからスタートすることにしました。

自分たちのためにもアイドリングが必要だと思ったからです。

結果、トークはじまりで良かったと思います。
主な内容は鯉丸兄さんの着物について。

この日着ていたのは春風亭華柳師匠からいただいたお着物。

寸法や紋について、そしてその着物の良さについて。
とても楽しかった。
着物の細かい話って狭い方へ狭い方へ行きがちなのであまりできないのですが、この会では安心してついつい甘えてしまいました。


鯉丸兄さんには是非、寸法が微妙に合わなくてもなんとか手をうって着続けてもらいたいと勝手に思っている次第です。

そういえば自分も、師匠からいただいた袷の着物や袴、大師匠の単衣と袷の小紋の着物や紗の紋付など箪笥にねむっております。

寸法のこともあるし、いつか着ようと思ってもなかなかこれを常用することはないのですよね。

ちなみに先日の北とぴあの競演会では、師匠からいただいた大師匠の帯を締めました。

すがりたかったのでしょうね。
ありがたやです。


話はもどって「鯉丸と音助」。
この会は、始めた時から私の都合で「ひとり寄席」とは違う月で開催してもらっています。

なぜかというとネタおろしをそれぞれの月でしたいからでした。

実際に「鯉丸と音助」でネタおろしをしたことは何回もあります。
ところが、ここのところはずっとできていません。
長くやっていなかった蔵出しのネタ、もしくは「ひとり寄席」や「さなぎの会」で初演したものを2回目としてやるネタが多くなっていきました。

この日もそうでして、「初天神」をかなり久しぶりにやりました。

手掛けたネタが増えてくると蔵出しがとても大切になってきます。

わけあってやらなくなった演目が、

『久しぶりでやってみたら前よりしっくりくるじゃないか!』
『よし、これなら寄席でもできるな!』
『今度呼んでもらってる会のトリでもやってみようか!』

という感じで持ちネタになってくれたらいいなぁといつも思っています。

ところが、こんな上手くいくことの方が確率としては低いのではないでしょうか。


淡い期待が毎度砕かれ、また蔵の中へ。


お客様がわるいなんてことは本当にありません。
いつもそれは自分の責任において決まります。

でも期待し続けてしまうんだから、懲りないというかやめられないというか、楽しいんでしょうね。

本当にお付き合いありがとうございます。
感謝しっぱなしです。


でも今回、初めての会場、そしてまた蔵出しをして、なによりこの日「出来心」をネタおろしした鯉丸兄さんをみて思いました。

次回はネタおろししよう!
しかももっとお客様に来ていただきたい!

少しでもその気持ちを表せないかと思って、次回はチラシに演目を記載しました。
我々これをネタ出しと言っています。

実は始まった当初はチラシへのネタ出しをしておりました。
いつのまにか、チラシには記載しないで、会が近づいたらSNSに載せるという方法をとっていました。

その方が切迫つまらなくて済むのですよね。
でもその分、直前まで演目を変える融通が効くので自分に甘くなるのです。

次回12月もアートスペース兜座での開催ですが、次次回からはまたらくごカフェへ戻る予定になっています。

折角また違う会場でやるのですから、今までより自分に発破をかけて臨みたい。

お互いずっとやりたいと思っていたネタにしました。
私は「かつぎや」をこれから仕込みます。
鯉丸兄さんも「井戸の茶碗」にこれから取り組むはずです。

思い入れありますから楽しみにしていてください!



そんなこんなで、今年いっぱいのネタおろし演目が決まりました。


11月3日は
日本橋ひとり寄席で「粗忽の使者」

11月6日は
さなぎの会で「日和違い」

12月20日は
鯉丸と音助で「かつぎや」

2023年もあと2ヶ月!
何卒よろしくお願い申し上げます。


写真は師匠からいただいた大師匠の帯。
写真だと青みが伝わらないですが、爽やかないいお色です。
帯屋さんで綻びを直してもらってから何度か締めております。
使いすぎると傷むと思い、やはり常には締められませんね。



お読みいただきありがとうございました。

雷門音助








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